知っているようで知らない?! 機械式時計について【3】
2019.03.12 Watch

これから機械式時計を買おうかな、という方や既に使ってはいるものの本当のところはどうなの?という方に向けてお伝えしていきます。

3回目の今回は・・・

◆ Q(3)正規品と並行品の違いって? 保証書って保証期間過ぎたらいらなくなるもの?

 

はい、まず正規品についてですが、正式には「国内正規代理店品」の意味です。海外ブランド品の場合、大概は日本に正規輸入元が存在します。例えばロレックスだったら「日本ロレックス」。オメガだったら「スウォッチ・グループジャパン オメガ事業部」。カルティエは「リシュモンジャパン カルティエ」。このようにスイスなど海外に本社があって、その子会社が日本に現地法人を立ち上げて輸入元となり、正規取扱店と販売契約するパターン。いわゆるビッグブランドと呼ばれるような誰もが知っているブランドはこの形態が多いです。

かたやそこまで大きくないブランドですと、例えばユンハンスだったら「ユーロパッション」、セブンフライデーだったら「サイプレストレーディング」、ミッシェルエルブランだったら「オールージュ」というように、輸入商社がブランド本社と契約を結んで日本の総輸入元になっている場合があります。

いずれにせよ、本社から日本の総輸入元として認定された会社から仕入れした商品を「正規(輸入)品」と呼びます。

 

正規品のメリットは、

〈1〉まちがいなく本物であること

〈2〉正規のメーカー保証がついていること(正規品じゃないと修理を受付てもらえない場合があります〉

〈3〉正規のアフターサービスが受けられること(正規品割引が効く場合があります)

〈4〉同程度のコンディションなら並行品より高く買い取ってもらえること(保証書、ボックスなどの状況にもよる)

などがあり、共通していえるのは「安心感」「満足感」です。

 

逆にデメリットは、

〈1〉定価販売がベースのため、並行品や海外購入の場合に比べ”高く”感じてしまうこと

〈2〉保証書や顧客の登録に住所、氏名、電話番号等を必要とするため、販売店とのつながりをできるだけ避けたい方、転売目的の方や修理してまで使う予定のない方には手間がかかると感じること

などが考えられます。

なお、政令指定都市規模以上だと大概のブランドの正規取扱店が存在すると思いますが、地方都市だとお住まいの地域に正規取扱店が存在しない場合、他エリアの正規取扱店まで行かないと商品を見みることができず、購入も難しいです。メンテナンスの際、お客さま自身で正規取扱店に持ち込むか、発送しなければならない場合もありえます。(店によっては、扱いブランドでなくても修理代行してくれたり、自店の修理部や提携先で修理受付してくれる場合あり)

 

一方、並行品(並行輸入品)や海外品(海外購入品)は、上記のような正規取扱店ではないところから購入した商品ということになります。

国内の総輸入元を通さず、海外の小売店に並べられている商品をバイヤーが購入。ブローカーと呼ばれる中間業者を通す「卸売り」の形もあれば、ブローカーを通さず並行輸入品販売店独自に買い付ける場合もあります。いずれにしても、それは一度誰かが海外の店舗で買った品になります。つまり正確に言うと「新品ではなく、新古品」となります。

また、保証書の問題があって、そのどこかの国の販売店のスタンプや日付が書かれている、つまり実際に使う方の購入日より前の日付が入ってしまうか、全くスタンプや日付の入ってない「白紙の保証書」が添付される可能性があります。

上記のように買い付けのルートがはっきりしないので、どうしても100%ホンモノと言い切れないところがあります。

 

並行輸入品、海外購入品のメリットは、

〈1〉よほどの限定品や人気商品でなければ、正規品より割安である

〈2〉逆に割高だが、正規店で入手できないモデルが入手できたりする

〈2〉日本未入荷品の購入の可能性がある

〈3〉お住まいのエリアに正規取扱店がなくても並行輸入取扱店であれば入手可能

 

デメリットは

〈1〉100%ホンモノだとどうしても言い切れない

〈2〉国際保証書がついてきたとしても、日本国内では無効となる場合がある(日付、店印、型番、固有番号の記載不備のため)

〈3〉正規のアフターサービスが受けられない、または割高になってしまう場合がある

 

などがあります。つまり購入する時は割安感で飛びつきたくなるのでしょうが、購入後に「不安感」がつきまとう可能性があります。アフターサービスもとても気になるところです。割安だったとしても時計の場合トータルで考えると結構な金額の場合があるので、壊れたら使い捨て・・・というつもりで購入してないと思います。「時計は機械モノ」なので、必ずメンテナンスが必要な時期がきます。予め購入する前に、信頼のおける時計店や時計に詳しい方、時計雑誌やネットからも情報を得ておく必要があります。ただし、並行輸入品、海外購入品については全て自己責任と思って買われた方がよろしいと思います。

以前お客さまから言われたことですが、「正規品はメーカーと販売店、自分の3者で責任を分担しているという安心感があるんですよね。」と。まさにそうだと思います。

それから、保証書についてですが、保証期間は1年から2年が多くのブランドで対象としております。最近ではアンケートに答えると保証期間が1年延長になったり、初めから3年や5年といったロングラン保証付きのブランドも見受けられるようになりました。

傾向としては、以前より長めになってきているといえると思います。これはユーザーさんにとって心強いことですよね。先程も書きましたが、正規品を買っていればこのような恩恵を安心して受けられます。

ここで一つ確認ですが、ほぼどのメーカー、ブランドも保証の範囲は「内部機械」のみ。

ぶつけたり落としたりして、ガラスやケース、ブレスレット、ベルトやバックル、細かいところですとリューズやプッシュボタンなどは保証対象外です。

「保証」と「補償」の違いですね。

あくまで、自然故障に対する内部機械の保証ですのでご注意を。販売店からの説明や取説をよくご確認いただければと思います。

「高級時計だから壊れない」・・・のではなく、「高級時計だからこそ繊細な部品を多く使っている」とも考えられます。ですので、「時計はいずれ壊れるもの、メンテナンスが必要なもの」とお考えいただく方が、時計を大事に使うことに繋がり結局は長持ちすることになると思います。

それと、保証期間が過ぎても保証書は必要か。ですが、

「正規品を購入した」という証になりますので、必ず保証期間が過ぎてもなくさずにお持ちになることを強くオススメ致します。ボックスにきちんと入れておき、修理メンテナンスが必要な時は必ず時計本体と一緒に販売店や修理依頼店にお持ちください。

正規品の場合、ブランドによっては正規割引が設定されております。だいたい3割引から半額、場合によっては半額以下の価格設定のブランドもあるようです。

修理メンテナンス代も2万円くらいから10万円を超えるケースも見受けられます。割引で数万円違ってきますので保証書はなくさずに保管をお願い致します。

 

なお、多くの正規店では販売履歴を残している場合があります。

保証書を万一なくしても救済システムがあるかもしれません。JIKODOの場合もここ18年ほどの販売品は保証書の控えをファイルしておるものがほとんどです。初めから諦めずにまずは販売店に問い合わせることをオススメ致します。

 

 



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